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一方で、約5千数百棟のマンションのうち、約200棟のマンションが中・大破と認定されています。
不動産関係のリサーチ会社、東京カンテイの調査によれば、この大震災で中・大破したマンション約200棟のうち、7割以上が新耐震基準となる以前に建てられたマンションでした大破したものに限ればその約9割が旧耐震基準のマンションでした。 マンション全体との比較でみると、新耐震基準で建てられたマンションで中・大破したものは1・6%に過ぎなかったのに対して、旧耐震基準で建てられたマンションでは4倍以上の6・5%が中・大破しています。
阪神・淡路大震災では、建物の形式によっても被害の状況にかなりの差があったことが報告されています。 以下では、その要点をまとめています。
同じマンションでも規模や建物の形式によって被害状況には大きな差があることを理解して、自分の住んでいるマンション、これから住もうと考えるマンションの耐震性能に十分関心をもつことが必要だと思います。 〈ピロティ形式のマンション〉などに利用する、いわゆるピロティ形式のマンションがあります。
限られたスペースに、駐車場を配置することができるため、都心部などで多く採用されているタイプです。 しかし、ピロティ部分は極端に耐震壁が少なく、ほとんど柱だけで建物を支えているため、地震に対する抵抗力が弱く、危険が指摘されています。

実際、阪神・淡路大震災でも鉄筋コンクリート造のマンションで最も多く見られた被害はこのタイプのマンションだといわれています。 新耐震基準で設計された鉄筋コンクリート造の建物でありながら大破以上の被害を受けた十数棟のマンションのほとんどがピロティの柱の被害であったといわれています。
低層部に底舗などを配置した中高層のマンションは幹線通りに面した中高層のマンションなどによく見かける形式で、1、2階の低層部がコンビニなどの庖舗として利用されていて、その上層階がマンションとなっているタイプのものです。 このようなタイプの建物では上層の住宅部分に比較して、低層部は庖舗としての使い勝手や効率性を重視して、間口を広げ、壁も少ない設計となっています。
大きな地震が起きた時に、巨大な力が壁の少ない低層部に集中するため、大きな被害につながる可能性が高いといわれています。 〈壁式構造のマンション〉鉄筋コンクリート構造の建物は、柱・はり・壁・スラブといった部材から構成されています。
柱とはりを一体化して骨組をつくったものを「ラーメン構造」といい、柱がなく、壁と床だけで建物を構成しているものを「壁式構造」と呼んでいます。 この、「壁式構造」は団地などによく見られる4~5階建ての低層共同住宅で比較的多く採用されている形式のものです。
柱がなく、壁と床だけで構成されるので、比較的高い耐震性を有しているといわれています。 事実、大震災で被害が集中した地域に建つマンションでも、この壁式構造で建てられた建物には、あまり大きな構造的被害が生じなかったといわれています。
阪神の震災を、つけて、新耐震基準を充たしていない建物について積極的に耐震診断や改修を進める目的で制定された法律が1995年ロ月に成立した「耐震改修促進法」です。 その耐震改修促進法が制定されてすでに50年以上が経過しましたが、耐震診断や耐震改修はどのくらい実施されているのでしょうか。

2007年1月7日付けの朝日新聞朝刊はトップ記事として、旧耐震基準で建てられたマンションが全マンションの約3%にあたる2万2000棟(約146万戸)あまりある中で、実際に耐震診断を実施しているマンションはそのうちのわずか2割でしかないことを報じました。 さらに、診断後、実際に耐震補強工事を実施した例はなんと3件とのことでした。
もっとも、耐震診断の実施状況は自治体によってかなりの差があり、耐震診断が最も進んでいる横浜市では∞∞%、神戸市では別%のマンションで診断が行われている一方で、東京お区は2%に充たない実施率で、助成策の整備など自治体の姿勢がかなりの影響を及ぼしているようです。 いずれにしても、何年に阪神・淡路大震災の教訓をもとに耐震改修促進法が定められ、すでに50年以上が経過したにもかかわらず、ほとんどのマンションで耐震診断すら行われていないという事実は深刻に受け止めるべき問題であると思います。
新耐震基準になる前に建設されたマンションの中には、耐震上の問題を抱えたマンションが相当数あるといわれる中で、耐震強度偽装事件を契機に社会がマンションの耐震性にあれだけ関心を示したにもかかわらず、ほとんどのマンションで耐震診断すら進んでいない、という現実を私たちはどのようにとらえればよいのでしょうか。 実際に横浜市や神戸市などでは8割を超える実施率を実現していることから、各自治体が本格的に取り組めばほとんどのマンションで耐震診断が実施されるものと考えられます。
問題の本質は実施率の高さではなく、自主的に診断が進んでいないという現実です。 考えられる大きな理由としては次のようなものでしょうか。
・区分所有者の危機感が薄い(個人の問題)
・共有者としての当事者意識が希薄である(共有意識の問題)
・面倒なことは自分たちが執行部の時代に行いたくない(組織の問題)
・診断の結果が悪かった時にどうすればよいか
どうしようもない資金の問題。
実際に、耐震改修工事の実施を検討しているマンションで、役員から聞いた話では、耐震改修に反対する意見として多いのは、「もっと危険なマンションや住宅があるのに、なぜ無理して改修する必要があるのだ」、「耐震改修を行うと建物としての資産価値が下がる」といった意見だそうです。
地震への漠然とした不安を抱えながら、具体的な行動に結びつかない(危機感のていかん欠如)のは、私たち日本人特有の諦観のようなものかもしれません。 戸建て住宅であれば、個人の責任としてどのような選択を行うことも、ある意味で自由であるといえるかもしれません。
しかし、マンションは大きな一隻の船のようなものです。 これを私は繰り返し「運命共同体」ということばで訴えてきました。
震災で大きな影響を受けたマンシヨンの例をあげるまでもなく、どこかの階が崩壊するようなことがあれば、そのマンション全体が崩壊してしまうのです。 極論すれば、耐震性のような安全の根幹に関わる問題について考える時、マンションの区分所有者が負うべき責任とは、他のすべての区分所有者と互いに連帯した責任であるというべきではないでしょうか。

ところが、マンションの多くの区分所有者の実体は、戸建て住宅と同じようにマンションも個人の資産の延長としてしかとらえていないのでしょう。 マンションに関係する問題の本質は、結局多くのマンションの区分所有者の聞に、運命共同体としての健全な共同意識がまだ芽生えていないことにあるのだと思います。
戸建て住宅であれば他人の意見など無視して、自分たちの責任と判断で生命財産のことを決めればすむという理屈が通るのかもしれません。 マンションの価値「耐震診断をやって、悪い結果が出たらマンションの資産価値が下がる」という考えは過去のものです。
これからは、「耐震診断も耐震改修もやっていないマンションの資産価値は下がる」ことになる、と考えるべきです。

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